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ホテル川久━バブル負の遺産 [バブル時代/80年代後半~90年代初頭]

【サラリーマンの適応障害、うつ、不安】人権軽視と侮辱から逃げる勇気を!

和歌山県西牟婁郡(にしむろぐん)白浜町

和歌山県南西部の海岸沿いに位置するこの町は、
観光と農業が主たる産業である。

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夏の海では小さな熱帯魚とともに海水浴もでき、
黒潮のおかげもあって1年を通じて温暖な気候で知られる。

昭和時代に関西の熱海として近畿を中心に
観光客が訪れる町であった。

しかし、1990年代後期以降、一時期、熱海同様、
廃墟となった企業の保養所や、
閉館したホテルなどが点在し、痛々しい景観を形成した。

中でも異様なまでの存在感を誇示する
薄茶色の巨大な城、まさに西洋の城の外観の巨大建造物、
それかホテル川久(かわきゅう)だ。

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バブル時代、日本を席巻した
超高級リゾートホテルブームの中でも、
頂点に立つウルトラバブリーな怪作である。

田辺湾に面した一等地に旅館川久ができたのは1949年。

木造3階建ての純和風旅館で、
昭和天皇など皇族も宿泊した白浜一の宿だった。

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高度成長期とともに資産家となった、
旅館川久の創業者の息子と娘二人が
「いままでにないホテルをここ白浜に作ろうじゃないか!」
と思い立ち、
暴挙に出たのが1989年、
おりしもバブル絶頂期のことであった。
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当初の予算の150億円の倍の約300億円を費やして、
1991年冬に完成に至っている。

なにしろ屋根瓦は中国天安門の紫禁城(しきんじょう)と同じ、
皇帝だけに許されてきた瑠璃瓦(るりがわら)を47万枚使用。

レンガはイギリスから73種類の全140万個使用。

高さが10mあるロビーの天井には、
3200坪にわたってフランスの金箔職人が
1枚1枚、手作業で純度22.5金の金箔を貼りつめている。

この純度22.5金が太陽の光に当たった際に
いちばん美しく輝く色とのこと。

石膏(せっこう)マーブルという人造大理石で仕上げられた
直径1.6m、高さ約6mの柱は、
制作費1本1億円。

それがロビーに24本も並び、
5,040坪に及ぶ床のモザイクは
ヨーロッパ最大のモザイク集団である
イタリアのフリウリ地方の職人が大理石を刻んで、
一枚ずつ手作業で埋めていったもの。

モノトーンの色調にしているのは、
「お客様のお洋服のお色を引き立たせるため」
とのこと。
 
モザイクの床にさりげなく置かれたピアノは、
イタリアのクレモナ大聖堂にあるオリジナルを
忠実に再現した、
世界的なピアノ製造メーカー
スタインウェイの特注品。

壁に埋め込まれたモザイク画は、
およそ1800年前のビザンチンモザイク、
シリアで発掘された超一級美術品だ。

このホテル川久とルーブル美術館にしか存在しない。

延べ床面積は8,660坪は
通常1,000室は取れる規模のだが、
川久の全89室であり、
全室すべてがスイートルームだ。

広さ333坪~2,200坪、
ひと部屋たりとも同じ調度はなく、
家具類は全てヨーロッパから取り寄せられた。

1993年には日本建築界でもっとも
権威ある賞とされる村野藤吾賞を受賞している。

これだけの器に負けないお客様を、
と意気込みホテル川久は会員制を採用した。

入会金は、
個人会員が一口2,000万円
法人会員が6,000万円

宿泊は会員か、
会員の紹介者に限られた。

地元和歌山県の庶民には
とうてい近寄れない雲の上の存在であった。

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そのホテル川久が、
やっぱりというか、
必然というか、
402億円の負債を抱えてずっこけて、
会社更生法の適用を大阪地裁に申請したのが
開業から4年後の夏、
1995年のことであった。

開業当時の計画では会員権を1900口販売して
資金調達を図るはずだったが、
売れたのはたったの431口、
てかそれだけでも売れたってのがすごいが。

宿泊客もず~と20%台と低迷し、
逆立ちしてもとうてい採算ラインに乗らなかった。
 
倒産してからは、
会員以外の一般客に客室を開放したり、
料金を半額以下に下げたりと
経営努力を重ねながら営業していたホテル川久であったが、
1998年になって北海道に多くの温泉ホテルを持つ
カラカミ観光(株)に買い取られている。

買収額は30億円、
総工費のたったの10分の1であった。

現在のホテル川久は
当時のままの豪華絢爛な建築と家具調度を残しながら、
1泊2食付きで1万円台からと、
ずいぶんと庶民的になったお値段の温泉ホテルとして
営業中である。

食事だけの利用も、
日帰り入浴もOKの誰でも出入り自由の
庶民の味方だ。

機会があったらあなたも、
このバブルの負の遺産の見学もかねて、
温泉ホテル川久を体験してみては?

ユネスコ世界文化遺産の見学よりもおもろいかも。

【サラリーマンの適応障害、うつ、不安】人権軽視と侮辱から逃げる勇気を!

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